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「BMIブレインピック」へ込めた思い、2050年の中核世代へ(BMIブレインピック開催報告2)

先月19日(土)に公開実証実験イベント「BMIブレインピック」を開催いたしました。当日の様子については(開催報告1)もぜひ合わせてご覧ください。

開催報告2では、牛場が本イベントに込めた思いについてお伝えするとともに、実際に参加した中高生(2050年の中核世代)の感想をご紹介します。当日インタビュアーを担当したのは牛場潤一研究室<未来アンバサダー>の森彩葉さん(茨城県立竹園高等学校3年)です。

イベント開催直前の牛場にインタビューしていただきました。

インタビューを受ける牛場とインタビュアーの森さん

(森)この分野に興味を持ったきっかけやエピソードを教えてください。

(牛場)小学生の頃にAIブームがあり、放課後にAIを学ぶクラブがありました。AIにはまっていき、人間の脳や知性をプログラムで作れるかもしれない、と思った体験がありました。その後、中学生になり、人間の脳について学ぶ機会がありました。脳科学者が、脳は半分損傷しても、残りの脳が機能を書き換えて回復するという話をしてくれました。これら二つのエピソードが印象的で、AIで人間の脳の代わりになるようなものが作れるかもしれない。人間の脳そのものも、柔らかに機能を書き換えて回復していく力も秘めている。この二つをうまく融合させれば、僕らができないと思っていたことが、もっとできるようになるのではないか、と思い、これを自分の一生の挑戦としてやってみたいと思いました。それが、自分の中でブレインマシンインターフェースという形になり、今回のイベントの実現につながりました。

(森)今回のイベントは社会貢献の要素が強いと思うのですが、学問を学び始めた当初から社会貢献について考えられていたのでしょうか?

(牛場)ちょっとしたプログラムを書いて、思った通りに動く快感や、うまくいかない時に、解決して形になった時の面白さを少しずつ育てていきながらやってきました。高校生になり、大学進学を考えていた頃に、おじいちゃんが脳卒中になり、ある日急に車椅子生活になって、手も麻痺して、言葉も喋れなくなる失語症にもなり、すごくショックでした。自分が好きで続けてきたAIや脳の研究が、おじいちゃんのような脳の病気や障害を持った方に使ってもらって、もう一度家族や社会とつながっていく道具になれば、こんなに嬉しいことはないな、と思い、その頃に社会への意義や貢献が自分の中で芽生えてきました。でも単純に楽しいと感じることがないと、毎日続けてみようという気持ちにはならないから、やはり両方の感覚が自分の中でできてくれば良いと思います。最初から頭でっかちに社会貢献をしなければならないと思う必要は必ずしもなくて、なんか面白そう、楽しそう、というワクワクを大切にして進んでいけば、成長と共にどこかのタイミングで、これがどう社会の役に立つんだろうな、とか、こう役立たせたいな、という視点が自然と出てくると思うので、あまり気にせずに楽しむところから初めていけば良いと思います。

(森)脳科学は高校までの教育課程であまり触れない学問だと思うのですが、大学で学びたい学問はどのようにして決めれば良いのでしょうか?

(牛場)小中高のどのステージにおいても、学校とは別の一般市民講座などを見つけては応募して行く、ということを結構やっていました。例えば、夏休みに小中学生に向けて脳科学者が三日間の脳の授業をしてくれる企画の広告が新聞に載っていて、応募ハガキを出しました。それが当たって通うことになり、先ほどのような脳の話を聞いてみたりしました。このような体験をしたり、研究者と直接会うことで、研究者は少年少女のようなワクワクする気持ちを忘れない大人だなあと感じたりしました。また、高校生の時には、病院で一日看護師さんの横について、障害や病気をお持ちの方の身の回りの世話をする看護体験もしました。学校で本を開いて勉強するのも大切だけれど、ちょっと気持ちが動いたら、放課後や土日などの自分の時間を使って、学校の外にあるイベントや体験を試してみることはしても良いんじゃないかなと思います。そんな風にアンテナを張ると、いろんなイベントがあるので、体験を通じて脳の研究や福祉、医療の研究って面白そうかもなという気持ちが自分の心の中に少しずつできて、大学で勉強してみたい、やってみようという気持ちになりました。中学や高校の授業の中で全てを完結させるのではなく、外のイベントに挑戦して、一歩踏み出して体験しながら、自分が大学生になったらこの道に進みたいなという思いを少しずつ養っていけば良いのかなと思います。

脳波でのeスポーツに参戦した中高生へ、イベントに参加した理由、体験してみての感想、技術への期待について質問しました。

参加した中高生と話す森彩葉さん

イベントに参加した理由について教えてください。

「脳科学に興味があって、このイベントに参加しました。脳波だけで何かができるって魔法みたいですごいと思います。ただ、まだアバターを思い通りに操作するのは難しいので、実生活で応用するのはまだ難しそうですね。」

「将来脳科学の研究をしたいと思って、今回のイベントに参加したのですが、体験してみてより一層、興味が湧きました。早く脳科学やテクノロジーの研究をしたいです。」

実際に体験してみてどうでしたか?

「自分の体は動かしてないのに、アバターが本当に動いたので驚きました。科学技術ってすごいなと改めて感じました。今回のように障害者の方も一緒に楽しめる社会づくりに役立ちそうだなと思います。」

「思い通りにならなかった時は不安でしたが、会場の皆さんが笑ってくれて安心することができました。余計なことを考えない時の方が、思い通りに動きました。」

「最初は緊張していましたが、リラックスするとうまく行くことに気付きました。走りたい時に走る動作などの直接的な動作を思い浮かべるのではなく、手を握るなどの別のイメージに置き換えることが難しかったです。」

こういった科学技術にどのような期待を感じますか?

「将来はこのテクノロジーを医療の分野で活かすことができそうだと感じました。小さいロボットを体内に入れて、遠隔で動かして何かができたら良いなと思います。」

最後に、森さんご自身にも今回のイベントに参加してみた感想を伺いました。

脳とテクノロジーを融合させることで、可能になることがたくさんあると強く感じました。今回は、脳波をゲームに応用させていましたが、技術の利用方法も無限にありそうです。一歩先の未来を体験できた気がします。大学では神経科学を学びたいと考えているのですが、それをどうやってその後に活かすのだろう?もっと社会や人の役に立つことを学んだほうがいいのかな?など、「学ぶ必要性」を考えてしまうことがあります。今回のイベントに参加して、そんなことを考えるよりも、学生のうちは好きなだけ興味関心を追求してみてもいいのかな、と思いました。(森彩葉)

BMIブレインピックの裏方として集まってくれた学生たち(一番左が森彩葉さん)

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